その9・・・汗!汗!汗!



絶対にこの後巨大化(笑)。
ラミイブーメランはとても重かったため、
軽い「アクション用のブーメラン」がありました。
これは「アップ用」。





特撮物の、見所として、
「アクションシーン」
は欠かせません。





「恐竜戦隊ジュウレンジャー」は
数ある特撮物の中でも
「スッピンのアクション」が多い作品として知られています。





「スッピン」とは?
東映特撮物特有の言葉なのかな?
つまり・・「顔出し俳優本人」を「スッピン」と呼びます。
それに対して、「変身後」があり、
また、「スッピン」のために、「吹き替え」があります。




「ジュウレンジャー」に
「スッピンのアクション」が多いのは
理由があります。



だって、本当に動ける人が多かったんです。




ティラノレンジャー・ゲキの望月くんは
JAC出身ですから、そのアクションたるや見とれるほど素晴らしい。


タイガーレンジャー・ボーイの橋本君は
体操をやっていたので、
トンボも切れるし、ジャンプ力とバネが半端じゃない。



マンモスレンジャー・ゴウシの高安くんも
トリケラレンジャー・ダンの藤原くんも
運動神経がいいので、
かなり動ける俳優でした。
トランポリンも自分で飛んでたし。
(最近の俳優さんでできる人はいないらしい)




まあ、プテラレンジャー・メイの麗子ちゃんは
「可愛いのがお仕事」ってことで(笑)。
でも、いつも一所懸命頑張ってました。





てなことで、ラミイです。





ラミイも「スッピンアクション」
結構ありました。




前も書きましたが、
「ある程度アクションができる女優」というのが
私がラミイに選ばれた理由の一つでした。




★当時私は、アクション監督・高瀬将嗣先生の道場で
殺陣をお稽古しており、
高瀬先生が監督なさったVシネマで
アクションシーンの経験もさせていただいたことも
大変役に立ちました。★




ラミイ登場直後。
「グリフォーザーが、望遠鏡をのぞくと
ジュウレンジャーと戦うラミイがいる。
驚くグリフォーザー。」





望遠鏡の中で展開されるアクションシーン。
吹き替えなしで行ったこのシーンは
オンエアでは、尺(時間)の関係で
ざっくりカットされちゃってるのですが(涙)
実際の撮影では、新堀さん(アクション監督)
かなり長い手順をつけられていました。




このシーンの撮影のとき、
「ジバン時代」からの旧知のスタッフやJACの方たちが
「あみちゃん。なんか、やってる?
 普通の女の子と動きが違う」
と言ってくださって、すっごく嬉しかったです!
殺陣をやっててよかった〜〜〜(^0^)としみじみ思いました。





しかし・・・・・・。
ラミイに要求されたアクションレベルは・・・

「普通の女の子と違う」なんて程度では
・・・許されなかった・・・・(T^T)。





新堀さんがつけてくださるアクションは
どんどん難しくなり・・・・。
・・苦労しました・・・・。(T^T)
・・・・最初こそ、ちょっといい気になったけど・・・





見れば見るほど、私のアクションは
へなちょこでへたっぴで・・・・。
(T^T)





だってだって!!!
何がスゴイって、JACの方たちは
新堀さんが
「バサっー!だー!バサっ!
ここで、入れ替わって、バシーっ!がっ!」
新堀効果音(笑)つきで、手順をつけてくださると・・






1度で覚えちゃうんです!!!!(*。*;)!





不器用な私は当然一度では無理(T^T)です。
私とカラむ、JACの方は
いつも私が覚えるまで
エンエンと一緒に練習に付き合ってくださいました・・・
(申し訳ない・・)



それでも本番では間違えたり・・・・・。





アクションシーン本番前の緊張感ってすごかった!(T^T)
弾着がしこまれてるときなんか、
ほぼ一発勝負だし!!
(火薬が高いから・・・)




いよいよ
「はい本番いこう!!!」
という監督の声。





緊張を振り切って集中するために
必ず私は大きな声で叫びました。






「おねがいしますっ!!!!」








現場でのラミイは
完全体育会系(笑)。












さあ、そうして、スッピンで頑張って
アクションをし終わると、
ものすごい汗です。
練習から動きっぱなしですから、その汗たるや
想像を絶するもの(^^;)があります。





ラミイの衣裳はとても特殊な形状で
腕が丸出しのわりに
胴体はかなり厚く硬い素材で覆われています。
(よって冬は果てしなく寒くて
夏は果てしなく暑い・・・・・)





恐ろしいことに。



胴体の甲冑は
まったく空気をとおさない素材で、
また、汗の吸収も発散もまったくしないのです。






よって・・・・
足の付け根の隙間から
汗が黄色いタイツに
染み出してきます・・・・。







よく小笠原監督が、そのタイツの光景をご覧になり、
「おっ!ラミイがもらしてるぞ!」
とお笑いになったものです(涙)








そして・・・・。
更なる高度なアクションになると
(ビルから飛び降りる、トンボをきる、宙返りする、など)
JACのアクション女優の方が
吹き替えをしてくれます。






「はい!じゃあ、ここから吹き替え!!!
チェンジして!!!」






チェンジ。






しかし、すぐにチェンジはできません。






「チェンジして!!」と言われた瞬間、
私と吹き替えの女の子は、衣裳さんと一緒に
ロケバスに向かって走ります



なぜなら。



ラミイの衣裳は・・・
あまりに高価だったため・・・・



なんと。




吹き替え用の衣裳が
ないのです!
(T0T)!!
人のチェンジの前に
衣裳のチェンジをしなくては・・・・(T^T)!!






ロケバスに駆け込み
衣裳さんにラミイの衣裳を脱がしてもらう。




胸からお腹にかけてのがすごい。
はっきり言って、
甲冑の中に池のように溜まってます(T^T)。







あみ:「○ちゃん!ごめんねごめんね!
こんなに汗かいてごめんね!
気持ち悪いよね?!ごめんね!」

(ラミイの吹き替え担当は3人いましたので
  それぞれの名前が○に入ります)



○ちゃん:「全然平気です!あみさん!大丈夫です!!」








素肌に、
私の汗まみれの「ラミイ」を
装着する○ちゃん。
ホントに申し訳なくて申し訳なくて・・・・・




衣裳のチェンジ完了!




再び現場まで、全力疾走で戻ります。






私は○ちゃんのアクションを
しっかり見届けます。
だって、そこにいるのは「私」だから。





私が死んでもできないことを、どんどんやって、
「ラミイ」をカッコよくしてくれる○ちゃん






私の汗にまみれて頑張る○ちゃん。
いつも感謝の気もちで一杯になりながら
見つめていました


○ちゃん、無事OK!





あみ:「どうもありがとう!○ちゃん!」
○:「いえ!とんでもないです!」



温かい場面・・・・・










でも。これで終わりません








再び監督の声が響きます。



「はい!また本人にチェンジ!!!!」




ひゃああああ〜〜!




またまたロケバスに走る3人!!!




○ちゃんが「ラミイ」を脱ぐと・・・



さああ〜〜〜〜♪
今度はすっごぉ〜〜いことになってます♪







私の汗と
○ちゃんの汗の
見事なブレンドです。







「濡れてる」とかいうレベルじゃありません。



それに加えて、
私よりはるかに激しいアクションをこなした
○ちゃんの熱気で
なんともいえない温度になっています・・・。



んで、今度はこうなります。




○:「あみさん!すみません!
           こんなに汗かいてすみません!」

あみ:「何言ってるのよぉ!全然平気よぉ!
    大丈夫よぉ!」










・・・・平気じゃなかった・・・
(T^T)・・。





絶対に○ちゃんも平気じゃなかったと思う・・・・。



もう・・・表現が見つからないくらいの気持ち悪さ・・・・





それでも、一度着ちゃえば同じ。
あっという間に気持ち悪さを忘れ、
また私は現場に元気に飛び出していくのでした・・・。






ちなみに。




ラミイの衣裳は。





黄色いタイツ以外。




一度も洗ってもらってません。




いつも丁寧に拭いて、干していただいていたので



悪臭をはなつことはありませんでしたが
着る瞬間はいつも覚悟がいりました。



一体どのくらいの汗がその中を流れ
どのくらいの汗がブレンドされたのか。



想像もつきません。(^^;)


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