「文売り」との出会い
名取披露で「文売り」を踊るというのは
おそらくかなり珍しいことだと思います。
師匠も私も当初、まったくそのようなことは
考えてなかったのです。
出会いはこんな感じでした→☆ここをクリック☆
今だから言える事ですが。
日本舞踊を知るたくさんの方から
「ええっ?文売りで名披露目するの?!」と驚かれ、
反対されたり心配されたり、いろいろありました。
でも歩き出した私は「もうこれしかない」
という覚悟で臨んできました。
ハトコである清元志寿造さんの三味線で踊りたい、
ということがきっかけで決まった清元で踊るということ。
私は「文売りはむりっ!」と言っていた頃に
ある清元の演目をやりたい、と師匠に告げたことがあります。
しかし、そのときの師匠のお答えはこうでした。
師匠:「それはだめだね。あなたの風(ふう)に合わない」
絢也:「風?」
師匠:「そう。風は大事」
絢也:「じゃあ、文売りは私の風に合ってるんですか?」
師匠:「うん。文売りは、あなたの風にとても合ってる」
この何気ない師匠の一言が背中を押してくれ、
またその後の苦しい時期を支えてくれることになります。
「この踊りの風は、私の風に合ってる。」
私のお守りでした。
振り入れがまだスタートした頃、
お稽古場の先輩名取さんが師匠におっしゃいました。
「先生!文売りのお稽古のとき、
先生も絢也さんも楽しそうですねえ!」
確かに師匠も私もとても楽しくスタートしました。
私は楽しくて楽しくて振りを覚えるのが面白くて仕方なく。
ただただ面白かったのは、この時期だけ。
難しいのはわかっていたけど。
こんなに私をとことん泣かせる演目とは・・
ここまで泣かされるとは・・・・
思っていませんでした!!
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