藤間流日本舞踊との「出会い」

モノを始める場合は、まずそのモノに興味を持つところから始まると思います。
そして、何かきっかけがあって、
「やってみたい」と思い、行動する・・・・。



お稽古場ではどんどん新しいお弟子さんが増えてますが、
どの方も日本舞踊を「やってみたく」て、訪れます。



私の、今までの人生の中で、
バレエも殺陣も、英会話もそうでした。
「やってみたい」と思ったから、門を叩いたのです。


でも、私の場合、この日本舞踊には、本当に正真正銘(?)
まったく興味ゼロでした。




女優になったときに
それはそれは沢山の人に言われました。
「日本舞踊はやっておいたほうがいいよ」
と。




「はいはい。そのうち。そのうち」と
いつも生返事をしていました。


全然やりたくなかったんです。(^^;)




そうしているうちに月日は経ち、
「そのうち、そのうち」は「そのうち」を迎えることなく、
消えていこうとしていました。多分。



運命は、おかしなところから転がってきます。



ある夜、私はとある芸能記者の方に
しゃぶしゃぶをご馳走になっていました。
場所は銀座だったと記憶しています。



美味しいお食事にお酒・・・・
世間話が進む中で、急にその方が、
「こんなオーディションの情報あるけど、
知ってる?」
と、カバンからプリントを出しました。



「いえ、知りません。へー。こんな映画があるんですか」

主役募集でした。役柄は芸者です。


「とりあえず、書類、出してみたら?」
「あー。そうですね。折角ですから、出してみようかなあ」



プリントにあった連絡先をメモ帳に走り書きして、
その日は「ご馳走様でしたー」と銀座の駅で記者さんと別れました。



家に帰り、手持ちの自分のプロフィールの書類を
封筒に入れて送ろうと作業をしてましたが・・・
ふと手を止めました。



「待てよ?」



うーん・・・・・・・・。
「どう考えても・・・これじゃ弱いなあ」



PCを立ち上げ、WORDを起動させ、
プロフィールの打ち直しをすることにしました。



私は堂々とキーボードを打ちました。
「特技・日本舞踊」




しかも、特技の筆頭に書いたのです!!



プリントアウトして出てきた「捏造プロフィール」に、笑いが止まりません。



わはは、わはははは。あたしもやるわねえ。
日本舞踊のぶの字も知らないのに。
あははは。わははは。



そうして、翌日、それはポストに投函されたのですが・・。




再び、「待てよ?」



「んー。書類に通って、
いざ、オーディションになったら、
嘘がばれちゃうよなあ。やばいかなあ・・・」



・・・・・・。あ、そっか!
「嘘をホントに
しちゃえばいいじゃん!(^^)」



これです。
コレが、
私が日本舞踊と出会うきっかけになった全てです!



ちょいと、日本舞踊、かじってみるかねー。
・・・とはいえ、あてがないなあ。
女優仲間で日舞をかじってる子は一杯いるけど、
月謝が高いとか、先生が嫌いとか、みんなブツブツ言ってるしなあー。



「そうだ、Sちゃんが
前に通ってたお稽古場はどうかなあ?」
と、ふと思いつきました。





Sちゃんにメールです。
すぐに返事が来ました。


「いいお稽古場だよー。」
彼女は諸事情合ってお稽古が続けられない状況になってしまったのですが、
お稽古場のいいところを、すごく詳しく書いてくれました。


彼女は大の歌舞伎好きで、
「歌舞伎ったら、藤間でしょ!やっぱ!」
・・と言われても、全然意味がわからなかった私・・。




しかし、つくづくこれまた運命の不思議を思うのですが
Sちゃんが歌舞伎好きじゃなかったら
私は、
藤間流と出会ってないわけです!




「若先生は、藤間達也先生といって、
これがHPのアドレス。見てご覧」


へー。HPがある先生なんだー。
どれどれ。見てみるか。



へー。へー。(へー、しかなかった・・・(^^;))



よっしゃ、とりあえず、
明日にでも電話してみるか。



翌朝、早速電話。



この日のことを師匠はよく覚えておられるそうです。
「なんだか、朝っぱらだったんだよ」
(す、すいません)

なんで、朝、かけちゃったんだろ???・・。




お電話で簡単にお話をして、
翌週くらいに見学に伺う事になりました。




2月のある日、わたしは初めて、大久保のお稽古場を訪ねます。


お稽古場がとても清清しく見えた
ことをよく覚えています。
神棚と、文机、きちんとした舞台。木のぬくもり。


なんか、日本!って感じでいいなあ♪


そして、その時の
達也師匠の第一印象は
「なんか、気さくでいい人♪(^^)」
でした(笑)。
(その後、しごかれる運命になるとはこのとき知る由もない・・・・・)




先生:「どうして、日本舞踊をやろうと思ったの?」
私:「えー。実はついちゃってー、
         嘘をホントにしなきゃいけなくなってー♪」





(^^;)なんてことを・・・。





・・・そうして私は藤間達也先生の弟子になり
「ちょっとかじったらやめちゃおっと♪」
くらいに思っていたのに、
師匠の踊りに惚れこみ、
師匠の教えに惚れこみ
お稽古の楽しさにどっぷり浸かり
いまや舞台を踏むまでにハマってしまったわけですが、
私のこの「舞踊生活」を送る運命が、


「芸能記者のきまぐれ」

「Sちゃんの歌舞伎好き」
支配されていることが、おかしくてたまりません。(^0^)






え?その「きっかけ」の一番の主役だったオーディション?
どうしたかって??



映画のプロジェクト自体が
暗礁に乗り上げ、
行われなかったのでした・・(^▽^;)・・





★お稽古を始めてから変わってしまったこと★

すべて、師匠の影響と思っていただいて結構です。

●お稽古があまりにも楽しいのでお稽古日には仕事以外の他の予定は一切入れません。
●お稽古日に飲みに行く約束をしません。(飲み仲間の皆さん。いつもワガママでごめんなさい。)
●洋服をほとんど買わなくなってしまいました。まずいです。流行がわかりません。
●着物ばかり買うようになりました。呉服屋さんが大好き♪です。
●ウオークマンで聞くのはお稽古してる演目の曲(長唄や常磐津)ばかりです。
●芸能花舞台なんぞ見るようになっちゃいました。
歌舞伎にハマってしまいました。毎月、大変です。
●笑うことが増えたので、確実に目の下の小じわが増えました。(達也先生、責任とってください)
                    ↑
                    特にお稽古が終わった後鏡を見ると・・私が笑いすぎなのでしょーが
                    笑わせてるのは先生ですので・・・(^^;)

●生活の中で、楽しい♪と思う時間が増えたお陰で、悩む時間が減りました。


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