その7・・・可愛くない!!




ご夫婦お揃い写真(スタジオにて・・)
★もともとピントが甘い写真なので、申し訳ないです。
こういう夫婦です。つまり、左が「ダーリン」でございます。
こうしてみますと、なかなかお似合いです(笑)。
キャラクターデザインをなさった方は素晴らしいと、今更、思います★




さて、前の章で、ラミイスコーピオンのお話を書きましたが、
なぜか急に「です・ます調の文体」になっていることに気がつきました。
おそらく、なんとなく、「かしこまって書きたい気分」だったのでしょう。
そのノリを尊重(??)して、この章もですます調で進めてまいりましょう。



ご存知ない方もおられると思いますが、東映製作の子供向け特撮番組は、すべて
音、声、ともに、後から入れます。撮影中に音を撮ることはありません。
(現在の「仮面ライダー」は同時録音部分も多いと聞きますが)


つまり、オールアフレコということです。


アフレコルームにて、撮影されたフィルムを見ながら、声を入れます。


これを苦手とする俳優さんもおられるようですが、
私はアフレコが大好きです。
だってもう一度演じられるなんて、楽しすぎる(^^)



現場で演じているときと同じ感情、同じテンション
を作り出さなくてはアフレコは成功しません。
ですので、ついつい、感情が入りすぎて、
マイクを殴ったり、
マイクスタンドを蹴ったりしてNG!
なんてことはよくあります。
★私に限らず、みんな結構やります・・・・。ほんとに・・・。




そして、「ジュウレンジャー」における、私の初アフレコの日を迎えました。




楽しいぃぃぃー♪(^▽^)♪♪♪



もう、楽しくて楽しくて、大張り切りです。
アクションシーンの「ふっ!」「はっ!」「たぁーっ!」
も、ジバンでさんざんやってますから、お手のモノです♪


私が非常に楽しんでることが伝わったのか、
口が悪いことで有名な小笠原カントク(笑)から、
「おい、ラミイのパワー、すごいぞ」と、
珍しくお褒めのお言葉(らしきもの)、もでました。




ゴキゲン状態を維持したまま、
巨大化の叫びのところも、
現場と同じ動きをマイクの前でやりつつ、無事終了!!!



スクリーンに映るラミイは、
私の叫びとともにラミイスコーピオンの姿に変わりました。
完全に私の手を離れた、怪獣の姿です。



「ふう、やれやれ・・・・」



一仕事終えて・・・マイクを離れ、長椅子に腰をおろしました。






・・・・・・あれ・・・?・・・・・



ん?(^^;)??様子がおかしいぞ?



金魚鉢(ガラス越しの調整室)の中から、助監督さんの声がしました。


「河合さん。」
「ハイ?」




「この怪獣の声も、河合さんがやってください」





(T^T)えっ・・・・?





通常、怪獣は、それ専門の声優さんがやるのです!
(ジバンもバトルマーシャへの変身があったけど、あれはほぼそのままの声でOKだったし・・)



恐る恐る助監督さんにききました・・・。
「あのぅ。この
可愛くない怪獣、私がやるんですか?」


助監督さんがお返事します。
「はい、この可愛くない怪獣も
河合さんが、やってください♪(^^)」






・・・・(^^;)そうなんですか・・・・。





さあああああ!大変です!!!!
巨大怪獣「ラミイスコーピオン」の声です!!
戦いまくってます!
「ふっ!」「たぁ!」なんて生易しい声じゃあ許されません!!




何せ、怪獣の声なんて初めてですから、どうしていいかわかりません。
しかし、考える暇も迷ってる暇もありません!!




仕方が無いので、
とりあえず
全部の文字に濁点が入ってるような声
というのをその場で開発しました。もうそりゃ、必死で・・。



簡単に言えば・・・
「たぁー!!!」が
「でぅ゛ぉ゛ゎ゛ー!!」
になったと思っていただければ結構です。




そして、スクリーンの怪獣になりきらないと、これはできません。
よって・・・。


ほぼ同じ動きをマイクの前で
やりながら、私は頑張りました。ええ、
頑張りましたわっ!!!!




工夫のかいあって、ダメだしもなく、録音が進んでいきます。





そのときです。



台本の上に、ある文字を見て、愕然とします。
そうだ、そうだった!こいつがあったんだ!!






「ダーリン!!」






(^^;)ちょ、ちょっと待って。





・・・そうです・・ラミイは巨大化しても、
可愛くない怪獣に姿を変えても
愛する夫をあくまで、「ダーリン」と呼ぶ
可愛い妻なのです。



さあて、困りました。どう、言おう?!




・・・考えた挙句・・・・・・
ある意味で、「心と身体を切り離す作戦」
で行くことにしました・・・・。つまり・・・・


「声は濁点!心はキュート♪」作戦です。




*俳優の竹中直人氏による「笑いながら怒る人」がお手本です。




濁点の声を維持しながら、
大好きな人を呼ぶときの甘い気持ちを呼び出しました。




「ダァ゛リ゛ーン゛!゛!゛」




・・・・なんとか、成功しました。(T^T)
いやあ・・・・平然を装いながら、心の中で慌てふためいたアフレコでした・・。



一度やったらすっかり慣れてしまい、その後は苦労しませんでしたが、
産みの苦しみは確かに存在しました。



★★ラミイスコーピオンの声をやったことで、得たもの、それは
「へー、結構私って、できることが一杯あるんだなあ」
と、自分の可能性に期待が持てるようになったことでしょうか。


これは、やっぱり、その後に大きな影響を与えているといえるでしょう(^^)。



こうして、ラミイへの愛情は深まっていくのですが、
大変なことはまだまだあります・・・(つづく)



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