その8・・・怖い怖い怖い!!


ロケ現場でカントクを囲むグリフォーザー・ラミイ夫妻・・
(あ・・・ダーリンの顔が・・・)



ご覧になった事がある方ならご記憶にありますでしょうか。
ラミイが、ジュウレンジャー5人の前に
初めて姿を現した場所がどこであったか。



サソリがはいまわる巨大な岩
ゴロゴロと転がってきて、彼らを攻め立て・・



その岩から
びびびびびー!!
光線が炸裂し、ビルの屋上に到達すると、
ラミイの姿になっている。


そんな登場でした。






上の写真に写っておられる、
小笠原カントクが、うむを言わさぬ勢いで私に命令なさいました。



「よし。あみ。あそこへ行け」





あそこへ、行け。あそこへ。






・・え・・(0。0;)・・・え?




あのビルは、確か・・・・6階建てだったはずです。



6階建てのビルの屋上の、柵もなあんにもない場所。
しかも、一番隅のヘリです、ヘリ。



「いやです」なんて言える筈もなく、
私は2人の助監督さんと一緒にビルの階段を上ります。
その時の気分は、まさに、
死刑台の13階段を上る気分でした。




実は私は、普通レベルをはるかに超越した
大変な高所恐怖症なのです!!


★どのくらい「普通じゃない」か、というと、
         机の上に乗って、電球を取り替えるのも怖いくらい、
高いところがダメでございます★




6階まで到達したところで、もう、上に行く階段がなくなりました。
ん?屋上にはどうやって行くのかな??





助監督さんたちが鉄の扉を開きます。



なんと。屋上への最終エントリーは・・



外を壁伝いに這うハシゴでした・・・・・・・




「河合さん。足元、気をつけてくださいね」




心の中がこんな言葉でぐるぐる音をたて始めます。



・・・・・あのさあ・・・気をつけるとかさ、気をつけないとかさ・・
そういうレベルじゃないよ。君たち。
これさ、足踏み外したらさ。死ぬよ。死んじゃうよ。



呆然とハシゴを無言で見詰める私に・・・・・・


「僕らが、下から守りますから、大丈夫ですよ(^^)」



そういう問題かな?そういう問題?
そうかな。そういうことかな。それでいいのかな?





大丈夫だという根拠がまったくない(T^T)・・・



でも、仕方がありません。やるしかないのです。
私はラミイなんですから。やるしかないのです。


やるんだったら
しっかりやってさっさと終わらせよう(T^T)
と思い、ハシゴに手を掛けました。



手と足が、ブルブル震えます




考えてみてください。普通の洋服ならまだしも。
ラミイのカッコなんですよ。




甲冑の胸のところが
邪魔じゃないかあ!(T~T)
おまけに靴も普通じゃないから・・・滑りやすいの・・・・。




サードの助監督さんが先へ行き、セカンドの助監督さんが後からくる形で
ちょうど、私を挟む感じで登っていきます。



あの一時、私は、この世の誰よりも
彼ら二人を頼りにし、信じました。






なんとか屋上にたどり着きました。



本当の恐怖のクライマックスはこれからです。





ビルの下から、カメラマンのいのくまさんの声が響きます。



「あみちゃーーん!一番隅に立ってねー!」




はい。わかりました。立ちます。立ちますとも。



立ちました。



「あみちゃーーん!カメラここ!ここだからね!」


カメラ、真下です。
そこを見つめてポーズ、決めるんだ。そうなんだ。
はい、わかりましたとも。



「あみちゃーーん!
ごめん、もうちょっとだけ前に出て!」


つま先がギリギリにかかるくらい前に出ろって事なのね。
わかったわ。でますとも。はい。



風が強いわ。ラミイブーメランを構えると、
身体がゆれるわ。バランスが悪いわ。



カメラの横で、JACさんたちが、マットレスを構えているわ。
あら、やっぱり落ちる可能性があるのかしら。
おほほほほほ




私の恐怖はピークで。
ピークになりすぎてて

その時だけ、一瞬、何かが麻痺したような
かつ、研ぎ澄まされたような感覚でした。




しっかりと真下のカメラを睨みつけ
ラミイとしての演技を終えました。一発OK.




「ハイ!OK!!あみちゃん!
いいよ!降りておいで!」



よかった。降りていいんだ。もう。





・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。あれ?





動けない。



身体が、動かない。



私はなお、その場に立ち尽くしていました。



その様子に、いのくまさんが、気がつきました。

「おおおーい!!
あみちゃんの手を握ってやれー!!」




二人の助監督さんが、私の手を握ります。
その瞬間。ぶつん!!と何かが切れました。



「ああっああっ!ああっ!怖い怖い怖い!!」
と、初めて私は悲鳴をあげました。


二人の手を握り締めたまま、ヘリから後ろに下がりました。
そのまま歩き出そうとしたところ、
1.2歩歩いて腰が抜けました(^^;)。



「お願い!!手を握ってー!!」
男性に手を握って!とあんなに哀願したのは、
人生で、あれが最初で最後ではないでしょうか・・・。




助監督さんと手を繋ぎつつ、何度も腰を抜かしながら歩いていき




第3の恐怖とご対面です。




もうおわかりですね?



「ハシゴは降りるほうが怖い」





ああああああああああー!!!かみさまああああ!





私は、
「このハシゴを降りるくらいなら、
死んだほうがマシだあ!!(T^T)」
と一瞬本気で思いましたが、
全然死にたくないので、降りる決意をしました。



二人の助監督さんに挟まれつつ、
なんとか無事に降りることができました。



あのとき、あのお二人が手を握っていてくださらなかったら・・
私は大パニックを起こしていたことでしょう。
この場をかりてお礼を言います。ありがとう♪




そして、この恐怖を作り出した、張本人。
小笠原監督は、いまだに嬉しそうに仰います。


「あそこに、お前を立たせてなー♪
あんなことさせるの、俺くらいだろー?
けっけっけっ!!!(^▽^)♪」



・・・・・けっけっけっ♪じゃないよぉーカントクー(−−;)


【その9】へ・・・


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