初めの一歩

「来年の藤曄会、私何を踊るんでしょう?」
と師匠におききしたのはいつのことだったか・・・。

師匠の口から出た演目の題名は
まったく想像していなかったものだった。


師匠:「あのね、松廼羽衣はどう?
うちのおかあさん(真起子先生)も、
いいんじゃないかしら、って」

お相手の「伯了」は師匠が勤めてくださるとの事・・。


絢也:「松廼羽衣?・・・・はあ・・・。
それって・・・私に向いてるんでしょうか・・?」

師匠:「いいと思うけどね。ただしあんたが
今まで経験してない壁にぶつかるとは思うけど。」


師匠と同じ舞台に立つ。
私にとって、それは、でっかいでっかい夢。

そんな途方もないでっかいでっかい夢が
実現しようとしている・・・
そのトキメキに顔はニヤニヤする・・(笑



しかし、なにか・・いやな予感というか
もやもやしたものが・・・・。



でもでも・・・師匠と踊れるんだぜ?!
もう迷うことなんか、ないじゃんっ!!


当然、もやもやした気持ちなんぞ、
自分の中の「誘惑」(笑)に負け(?)
私はこうお返事した。


絢也「達也先生と、真起子先生が、
私にはそれがよろしいとおっしゃって下さってるなら
それを是非踊らせていただきます。」


・・・・でも・・・・
師匠はさすがにお気づきだった・・・。
私が何かもやもやしてることに・・・。


ある日、師匠は
師匠のおばあさまである登美枝先生と
お母様、真起子先生との
「松廼羽衣」のビデオを見せてくださった。


おおー。
なんて美しい曲なんだろう。
天女は踊り甲斐がありそう。
わあ♪二人で花道に出られる♪(^^)



そのものすごい単純な3つのポイント(笑)により、
私の中に「やってみたい」という気持ちが強く湧いた。


師匠:「どう思った?」
絢也:「素敵です♪やってみたいです♪」
師匠:「よかった(^^)これを見てそう思ってくれたなら♪」



しかし、私のもやもやは、やっぱり的中。
お稽古が始まってみて、
「とんでもない選択をしてしまった」ことを実感する。

本当にこれは、今の私の力で挑戦するには、
とんでもなく難しい踊りだったのだ。


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